【知識・お手入れ編】30年の歳月と、雪国が守った「完全体」の奇跡

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前回の記事では、雪解けの地面で見つけたシダーローズのワクワクをお届けしました。
(前回の記事はこちら)

今日は、あのお花のような愛らしい姿に隠された、驚くべき「時間」の物語と、雪国だからこそ出会えた「奇跡」についてお話しします。

空の上で紡がれる、30年物語

シダーローズの親であるヒマラヤスギ。

名前に「スギ」とついていますが、実はマツ科(Cedrus)の植物です。

これがわかると、だから「松ぼっくり」ができるんだなと納得できますよね。

実はこの木、実をつけるまでに約30年もの歳月が必要だと言われているのをご存知ですか?

私たちが地面で見つける実は、その木が30年以上もの間、空に向かって枝を伸ばし、雨風に耐えてようやく実らせた努力の結晶。

そう思うと、ひとつ拾い上げる手にも、より一層 特別な感じがします。

なぜ「丸ごと」が奇跡なの?

通常、シダーローズは木の上で少しずつ鱗片(花びらのような部分)を散らします。

シダーローズはこの大きな実の先端です。

この先端部分がポロッと落ち、そこからパラパラと鱗片を落とし、種子を飛ばします。

そのため、通常は扇のような形をした鱗片やシダーローズを地面では見ることができます。

ところが、雪国・新潟では時折、鱗片がギュッと詰まった「大きな実(完全体)」のまま出会えることがあります。

これは、バラバラに散ってしまう前に、雪の重みでそのまま届けられた、まさに「雪国限定の贈り物」だと私は思っています。

本来なら散るはずだった命が、そのままの姿で手元に届くなんて、ちょっとドラマチックだと思いませんか?

雪国では『冬の間、雪が大切に守ってくれていた春の贈り物』と言えるかもしれません。

長く愛でるためのお手入れ

拾ってきたシダーローズ、そのまま飾る前にぜひやっていただきたい「ひと手間」があります。

せっかくの出会いを「永遠」にするための、魔法のステップですよ。

1. 隠れた住人を「追い冷凍」

軽く水洗いをし、水気を取ったら冷凍庫で数日間保管

雪の中は天然の冷凍庫ですが、お部屋の暖かさで隠れていた住人(虫さんたち)が目を覚まさないよう、まずはフリーザーバックに入れて数日間、お家の冷凍庫へ。

数分間の煮沸消毒をする方法もありますが、お鍋を使いたくない場合にはこれが一番確実な安心対策です。

2. 魔法のように開く「乾燥タイム」

左:冷凍庫から出した直後  右:乾燥2日目

冷凍庫から出したら、新聞紙の上で乾燥させます。

水分が抜けるにつれ、閉じていた鱗片がまるで魔法のように、ゆっくりと花開いていく過程も楽しみの一つです。

3. ボンドで「美しさをロック」

完全に開ききったら、裏側の芯の部分に速乾ボンドをたっぷり塗ります。

おすすめは木工用ボンド。

乾くと透明になり、木の成分と相性が抜群です。

シダーローズの裏側にたっぷり塗っておくと、乾燥によるバラバラ(崩壊)を最も強力に防いでくれます。

ボンドと同じように接着できるものとしてグルーガンなども思い浮かべますが、実の保護(バラバラ防止)には、奥まで浸透する液体ボンドの方が適しています

また、ヘヤースプレー(無香料)を全体に軽くかけると、ツヤが出て形が安定します。

こちらはお好みでお試しくださいね。

このように一手間加えることでバラバラになるのを防ぎ、いつまでも美しい形を保つことができますよ。

次回:茶色い実を春のアレンジに。

お手入れを終えて、ふっくらと魔法のように花開いたシダーローズたち。

でも、秋や冬のイメージが強いこの実を、どうすれば今の季節にぴったりな「春のインテリア」に取り入れられるのでしょうか?

次回はシリーズ最終回。

自然の造形美を最大限に活かす、私なりの春らしい仕立て方のヒントをたっぷりお届けします。

どうぞお楽しみに!

次回記事はこちら▼

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